西東京市主催 平成28年度障害者理解普及啓発講演会
みんな違ってみんなイイ ~脳科学からみた障害特性の理解~
3月4日午後、西東京市民会館 公会堂で こんなタイトルの講演会がありました。
これに行って来ました。司会進行は市障害福祉課課長の副参与・青柳さん。
お役所がタイトルを付けると、こんな堅苦しい難しいモノになるのですが、聴講してみると、大変楽しい科学的なお話でした。
講師はNHK論説委員・室山哲也さん。本職のアナウンサーの語り口で話すのですから、気持よく聴くことができました。その上、30才になる愛娘さんが自閉症であることを明かし、社会の障害者への無理解さ、身内ですら、例えば、祖父母からの「大きくなれば良くなるよ、治るよ」という何気ない悪意など全くない、普通の日常的な言葉が、どれ程、親に、特に母親に、大きなプレッシャーを与えるかなど、ご自身の体験を交えながらの話は聴衆をグイグイ引きつけました。
講演の初めに丸山浩一西東京市長が挨拶をされ、市の人口は20万になること、その中で障害者の数は、障害者手帳を持たない軽度障害者を含めると約1万人いるとのことで、行政としても必要な支援を行うが、しかし、大事なことは地域ぐるみでみんなで支え合い、サポートすることだと強調されました。市長は約2時間の講演を後ろの一般席で最後まで聴いていました。
講演の内容を記録しておきます。おもしろい科学的なお話がたくさんありましたが、とても全部は記録できませんので、ほんの一部をご紹介。
講演の要旨は次です。
①多様性を重んじることが重要。十人十色で良い。一種類のみでは生物も文化も発展しない。
②脳は受けた情報を脳内で一度バラバラにし、そして再度まとめるので、人それぞれで情報のまとめ方が異なる。人によっては凹凸が逆になって見えたり、濃淡の反射が異なったりと、全員の受け止めは同じでない。そうして人々は様々に人生を生きている。③このような様々な人々が人生を過ごせるダイバシティ社会が必要である。人々には文化の多様性が最も必要で、「文明の交差点で新しい文明が生まれる(トインビー)」ように進化のためには多様化がなければならない。
多様な人びと、天才か障害者か、自ら発達障害者だと公表している有名人に、例えば、黒柳徹子がいるし、噂ではトム・クルーズ、スピルバーグ、ウオルト・ディズニー、エジソン、アインシュタインなどもそうらしい。みんな文明の創造者だ。一定能力がずば抜けているいる人、例えば並外れた記憶力の持ち主がいる。そういう人にはサバン症候群だと言われる人がいる。宇宙飛行士などにも計算能力の特別に優れた人が多い。
当たり前の人はつまらない。個性のある人はキラキラしている。自閉症スペクトラム、注意力欠陥・多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)などなど、いろいろな障害をもった人いる社会だ。障害と言っていいのかどうか。そういうみんなが平等に花咲く社会、多様性が生み出すパワーを生かしたダイバシティ社会を創りたい。
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講師は愛娘が障害があると気付いた時の混乱からそれを受容し、そして共に生きること、一緒に楽しく生きていこう、という目標を見つけたことを、自らの気持ちを振り返りながらの講義でした。親の人生、子供の人生、講師は愛娘について、心配していることは、やはり娘のこれから。「親はいつかはいなくなるけれど、それまでは楽しく生きようね」と、そして、講師自身が娘から子離れしていないことを明かし、これがいけないのかもと話していました。自信に満ち満ちているような講師の話しぶり。しかし、人の親、それも自閉症の娘を持つ親として、将来に不安を抱えた心情を余すところなく吐露した講義でもありました。
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講義の内容は以上のような単純軽薄なものでありません。含蓄に富んだ、科学的分析に富んだ資料をPPTでいっぱい紹介して頂きながらの深い深い内容でした。全部書きたいところですが、それは大変。
この日、会場でお目にかかったのは、小矢野会長ご夫妻と島村さん、他にもおられたのかも知れませんが、私は気が付きませんでした。
(親の会の方は、横山さん、幸谷さん、さくらの園より鈴木さんがご参加されていました。今回、室山氏は、武蔵野東学園のOBですので、障害福祉課よりのご要望があり、武蔵野東学園の西東京市の学齢の方、そしてOBの方にご連絡させていただきました。会場の中には、武蔵野東学園の先生や保護者の方が沢山来られていました。また、市議会の方にもお声を掛けましたので、大林さんや森てるおさん、渡辺さんが来られていました。フレンドリー施設長の五十嵐さんも来られていました。ぶーけの久松さんにもお会いしました。この他にも気付かなかった方がおられたかもしれません。小矢野記)
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最後に、講師の室山哲也さんがご自身の一番好きな言葉として、講座の冒頭と最後に朗読された金子みすゞ の『わたしと小鳥と鈴と』を書いておきます。
また、講演の中でSMAPの「世界に一つだけの花」のメロディが流されたりもして、室山さんの信条、生き方、愛娘さんへの思いがひしひしと伝わって来ました。
『わたしと小鳥と鈴と』 金子みすゞ
わたしが両手をひろげても、 お空はちっとも飛べないが、 飛べる小鳥はわたしのように、 地面(じべた)をはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、 きれいな音は出ないけど、 あの鳴る鈴はわたしのように、 たくさんなうたは知らないよ。
鈴と、小鳥と、それからわたし、 みんなちがって、みんないい。
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